小谷一心太鼓・大丸目山樽囃子演奏

「小谷一心太鼓」

 

「大丸目山樽囃子」

 

 

「小谷一心太鼓」 曲作りに寄せて 大田隆文さん
総意

「小谷地域に和太鼓を立ち上げたい」というお話を昨年夏頃にいただきました。
太鼓があるだけで曲も無く、打ち手の募集もこれから・・というお話しでした。
曲を作らせていただくにあたって何がテーマになるもの、郷土の文化や歴史、地域性など無いですか?とお話させていただいたところ、『小谷は昔から暮らす人々よりも、新興住宅地に新しく来られた方の割合が多くなった地域で、これからは新旧一体となり心を一つにまちづくりをしていきたい。その思いを曲に込めて曲名を(一心太鼓)』としたいという提案がありました。
旧から新へ変わっていくのではなく、旧と新が重なり合っていく、重なり合って一つの物事を推し進めていく・・・曲名からそんなイメージを和太鼓で表現してみたいと思いました。

テーマ『心を一つに』

和太鼓曲、と言うのは基本的に太鼓の音色の高低とリズムの違いで構成されています。′地打ち′と呼ばれる曲のベースになる部分と′表打ち(上打ち)′と呼ばれる比較的リズミカルな部分とから作られています。
一心太鼓では附締太鼓、中型長胴太鼓(中胴太鼓)、大型長胴太鼓(大胴太鼓)、当たり鉦の4パート構成としました。
[A]では大胴とかけ声による伝統的な郷土のイメージをゆったりと表現。繰り返して締太鼓、中胴太鼓の胴打ちと新しい力が重なっていき、2行目3小節からのaccelではその重なりがいよいよ動き出していく様子を表しています。
[B]からは締と鉦の地打ちの上に長胴の力強いリズム、[C]から地打ちが中胴に変わり締と鉦による晴れやかな表
打ちのリズムになります。
[D]から[E]にかけては新旧のぶつかり合いのようなイメージです。
[F]では最初のかけ声を使ったテーマを早いテンポで打ちます。新旧がそれぞれを認め合いいよいよ郷土の伝統を基礎にした新しいまちづくりが始まります。
[G]からエンディングにかけては混然一体となった躍動感、グループ感を表現しています。

打ち手の方へ

初めての創作曲ということ、また余り長過ぎない曲であることという要望があり『打ち易く聞き易く』を心がけて作曲させていただきました。「礼儀・作法を重んじる、自己主張に過ぎない、相手の気持ちを推し量る」と言うのが和文化の特徴かと思います。
その特徴を生かしつつ聞き手に思いを伝える手段として和太鼓は大変優良なツールだと思います。誰でも簡単に「打てば響く」太鼓はしかし、安易さが故に稽古を重ね、自己を追求し、その奥深さを追及しない限り「誰でも打てる」では打ち手、聞き手双方に感動は生まれないと思います。
小谷流太鼓の礼儀、作法、所作を定め、その中で皆さんにしか打てない「小谷流一心太鼓」を作り出して下さい。
心を合わせ一つのリズムを打ち込むというのは簡単ではありませんが、叶った時にはエンディングの繰り返し部分では打ち手にも大きな感動が得られるはずです。
曲は書けばできます。曲をどう育てて行くかは皆さんの思い一つです。
郷土を思う、過去や未来を思う、緑を思う、子を、親を、人を思う・・・いろいろな思いを込めて、長く打ち続けられる、良い曲に育てていただけると嬉しく思います。また今回は使用しなかった樽太鼓を組み入れた曲も折を見て創作させていただければ、と思います。
[小谷一心太鼓作曲者 大田隆文](敬称略)